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空き家の固定資産税が6倍に?特例見直しとその影響を解説【千葉県版】
2025
10
03

はじめに:空き家所有者が直面する“税負担の急増”リスク
近年、空き家問題が深刻化する中、法制度も大きく変わろうとしています。特に2023年12月に施行された改正「空家等対策の推進に関する特別措置法」は、空き家 所有者にとって税負担が急増する可能性をはらんでいます。
これまでは「特定空き家」に該当するものだけが対象だった優遇特例の解除が、新たに「管理不全空き家」にも拡大され、条件次第では固定資産税が最大6倍に跳ね上がるケースも想定されるようになりました。
本記事では、千葉県にお住まい、または空き家を所有されている方向けに、次の点をわかりやすく解説します:
どのような空き家が“6倍課税”の対象になるか
改正法の具体的な仕組みと影響
税負担を避ける・軽減するための対策
不動産(主に土地)には、もともと“住宅用地特例”という税制優遇措置があります。
居住用の土地(住宅の敷地として使われている土地)については、固定資産税の課税標準額が一定割合で軽減されます。
具体的には、小規模住宅用地(200㎡以下)部分は課税標準が1/6、200㎡を超える部分は1/3になるという軽減措置が適用されることがあります。
この特例のおかげで、通常よりも土地税負担が抑えられていました。
ただし、この“軽減”が適用 されなくなると、課税標準が通常通りの評価額に戻るため、税額が最大6倍程度に膨らむ構図が生じます。
改正前は、特に危険性が高い「特定空き家」に対してのみ特例解除措置がとられていましたが、改正後はさらに一段階手前の「管理不全空き家」も対象として認定できるようになりました。
特定空き家 vs 管理不全空き家
特定空き家:倒壊・衛生・景観等に著しい悪影響があると認められたもの
管理不全空き家:現時点で大きな危険性が明らかではないが、放置を続けると特定空き家に至る恐れがある状態
改正後、管理の状況が不十分とみなされる空き家には、自治体から指導・勧告が可能になり、改善されなければ住宅用地特例の適用除外、すなわち固定資産税6倍化の可能性が発生します。
千葉県でも、各市町村でこの基準をどう運用するかが今後注目されます。
実際に固定資産税が6倍に跳ね上がるまでには、以下のようなステップを踏むことが多いです:
段階 | 主な措置 | 備考 |
指導・助言 | 所有者に改善を求める | 簡単な修繕や管理を促す |
勧告 | 改善を命じる猶予付き勧告 | この時点で特例が外れる自治体もある |
命令・過料 | 勧告に従わない場合に命令・罰則 | 対応がなければ強制措置もあり得る |
行政代執行 | 自治体が解体等を実施し費用請求 | 最終手段。税金・処理費も所有者負担 |
特に、勧告がなされた翌年から住宅用地特例が解除され、税額が6倍相当になるケースが報告されています。
千葉県内で空き家を持つ所有者がとくに注意すべき点を見ていきます。
自治体ごとの基準差:管理不全空き家の判定基準や適用時期は、自治体ごとに異なる可能性があります。
税負担増+利息・延滞金:税額だけでなく延滞金・利息も加わることがあり、総負担が膨らむことも。
資産価値の下落:税の重荷で手を付けず荒廃が進むと、売却価値も下がる可能性あり。
近隣リスク:倒壊・落下物・放火・景観悪化など、近隣への影響・損害賠償リスクも無視できません。
次に、所有者が取るべき具体的な対策をいくつかご紹介します。
速やかな状態改善:瓦や外壁、窓、屋根の破損を修繕し、最低限の管理状態を維持する。
適時に報告・申請を行う:自治体からの調査や立ち入りに対して必要な情報を提出し、改善努力を示す。
一部土地売却・建物解体:利用価値のない部分を整理し、税負担を抑える。
リノベーション・活用へ転換:使える部分を改装して居住・賃貸に活用する。
専門業者による相談・買取活用:空き家再生や買取に精通した不動産会社と相談することで、負担の軽減や早期処理が可能。
これらの方法を組み合わせて対応することで、税負担の急増や行政の強制措置を回避しやすくなります。
空き家所有における税制優遇は、もはや“放ったらかし”に耐えるものではなくなりました。改正法により「管理不全空き家」が新たに対象となり、固定資産税が最大6倍になるリスクは現実のものとなっています。

